花粉症とは? 

花粉が原因で起こるアレルギー性炎症です。主なものは花粉によるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎ですが、咽頭炎、喉頭炎、皮膚炎、花粉喘息などが出る場合もあります。花粉症は、約2%から5%しか自然に治らないと報告されています。

ヒノキ花粉とスギ花粉は違うものですが、花粉の中のアレルギーを起こす成分に共通性があることから、両者の花粉で同じように症状を起こすことがあります。
実際にスギ花粉症患者さんの約70%がヒノキ花粉に対するIgE抗体を持っています。ヒノキ花粉症を合併するとふつうの人より症状が長引きます。

花粉症の症状

アレルギー性鼻炎:鼻水、鼻詰まり、鼻のかゆみ
アレルギー性結膜炎:目のかゆみ、充血、涙
のどの症状:咽頭のかゆみ、痛み、かすれ
気管支の症状:咳発作、喘息
全身症状:微熱、頭痛

花粉症の症状花粉症の診断について

まず症状が花粉の吸入で起こることを問診で確認します。最終的な原因物質の確認には、血液検査での抗体測定、アレルゲンの皮膚試験、アレルゲンの鼻粘膜誘発試験などが行われます。

花粉症の治療は?

①生活指導・教育日常生活を考え直すのも必要です。
花粉症は吸入する花粉が原因です。ですが、ほかの要素が原因という事もあります。まず花粉以外のアレルゲン(原因物質)の関与が考えられます。スギ花粉以外に家のほこり、ダニ、ペットの毛などがアレルギーを起こしやすいと考えられます。花粉は屋外での注意、ほこり、ダニは室内での注意と、異なった対策が必要です。
次に体調の悪化によっても症状を起こします。これには寝不足、ストレス、感冒、過度の飲酒などが含まれます。

②薬物療法症状を強く抑える薬(ステロイド薬)は非常手段と考えた方が良く、副作用が起こりやすいためごく短期間しか使えませんので、その期間を過ぎたら薬を中断する予定が必要です。鼻と目の症状がある際に用いられる内服薬としては抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、漢方薬などがあります。外用薬として点鼻薬と点眼薬があり、どちらも抗アレルギー薬、ステロイド薬、血管収縮剤、抗コリン剤などがあります。

③減感作療法減感作療法とは感作された(過敏になった)体質を減らす治療法で、長期的な治療効果が期待できると考えられています。一般的には花粉などの原因物質を週に1~2回皮内注射を行いますが、注射量は少ない量から徐々に増加させ、ある程度の量になったら維持量として継続します。少なくとも2年間は続けることが必要で、スギ花粉症の有効率は約60~70%と言われています。

④手術療法(鼻)手術療法は保存的治療(生活指導、薬物療法、減感作療法など)で十分な効果が得られないときに考慮し、特に鼻づまりの強い場合に行われることが多いと思われます。鼻づまりの原因の一つとして鼻中隔弯曲症の合併があり、これを矯正するためには入院が必要です。これに対し下鼻甲介の粘膜が厚くなった肥厚性鼻炎となった場合には様々な手術があり外来通院でできるものもあります。これには粘膜切除術、レーザー照射、高周波電気凝固術、化学薬剤手術などがあります。
手術はあくまで症状を押さえる、軽くするための対症療法の一つです。

⑤注射療法花粉症に対する注射には5種類あり、それぞれ効果が有ることが報告されています。それらは減感作療法、免疫療法(皮内注射)、ヒスタミン添加免疫グロブリン(筋肉内注射)、星状神経節ブロック(首に麻酔薬を注射)、副腎皮質ホルモン(筋肉内注射)などが主なものです。

花粉症の薬について

①抗アレルギー薬抗アレルギー薬とは化学伝達物質遊離抑制薬とも呼ばれ、花粉症の発症の際に働く肥満細胞などからのヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離を抑制します。そのために予防的な働きがあり、花粉症に対しては花粉飛散の初期から用いることで、重症化を防止する事が可能になります。現在この治療が標準的な治療法と考えられますが、アレルギー性鼻炎(花粉症)に用いる内服薬は大きく分けて酸性と塩基性に分けられ、前者は眠気が起こらず即効性はありませんが、後者は眠気が起こり即効性が認められます(抗ヒスタミン効果がある)。本格飛散が始まる2ー4週前に始めるのがよいと思います。花粉の飛散は雨や雪などで減少する時期もありますが、抗アレルギー薬は予防効果を期待していますので、途中で中断せずに花粉飛散が少なくなる時期まで継続することが望ましいと考えられます。

②抗ヒスタミン薬抗ヒスタミン薬はヒスタミンという化学伝達物質が働き花粉症の症状が出るのを、拮抗的に阻害することで薬の効果が出ます。この薬は花粉症に対して即効性があり、症状を押さえる薬といえます。ただし抗ヒスタミン薬は、眠気とのどの乾燥が起こりやすく、長期間継続的に内服する場合は抗アレルギー薬の方が使いやすいと思います。

花粉症の薬について

①抗アレルギー薬
抗アレルギー薬とは化学伝達物質遊離抑制薬とも呼ばれ、花粉症の発症の際に働く肥満細胞などからのヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離を抑制します。そのために予防的な働きがあり、花粉症に対しては花粉飛散の初期から用いることで、重症化を防止する事が可能になります。現在この治療が標準的な治療法と考えられますが、アレルギー性鼻炎(花粉症)に用いる内服薬は大きく分けて酸性と塩基性に分けられ、前者は眠気が起こらず即効性はありませんが、後者は眠気が起こり即効性が認められます(抗ヒスタミン効果がある)。本格飛散が始まる2ー4週前に始めるのがよいと思います。花粉の飛散は雨や雪などで減少する時期もありますが、抗アレルギー薬は予防効果を期待していますので、途中で中断せずに花粉飛散が少なくなる時期まで継続することが望ましいと考えられます。

②抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬はヒスタミンという化学伝達物質が働き花粉症の症状が出るのを、拮抗的に阻害することで薬の効果が出ます。この薬は花粉症に対して即効性があり、症状を押さえる薬といえます。ただし抗ヒスタミン薬は、眠気とのどの乾燥が起こりやすく、長期間継続的に内服する場合は抗アレルギー薬の方が使いやすいと思います。

③市販の風邪薬の内服薬
市販の風邪薬の内服薬には抗ヒスタミン薬が含まれていることが多く、花粉症にも効果が有ると思います。ただしこの薬には、のどの痛みや、セキ、タンなどの症状を押さえる成分も含まれていることもあり、長期間使用するのはあまり適当ではないと思われます。また抗ヒスタミン薬の副作用として、眠気やのどの乾燥が強く出ることも少なくありません。

④点鼻薬
点鼻薬には様々な種類のものがありますが、一般の薬局で売られているものは血管収縮性点鼻薬と呼ばれるものです。これは最初は鼻づまりが解消されるのですが、リバウンド現象として鼻づまりが前より悪化し、そのために点鼻薬の使用が長期間となりやすいという副作用があります。従って、花粉症に対し最初に用いるべきものとは思えませんし、もし使う際には非常用と考えたら良いと思います。その他の点鼻薬には、副腎皮質ホルモン剤(局所ステロイド剤)、抗アレルギー剤、抗コリン剤などがあります。

⑤副腎皮質ホルモン
花粉症に対して副腎皮質ホルモンを使うことは少なくありません。多くは点鼻薬、点眼薬として用いられます。この薬は気管支喘息の吸入に用いられるものと同様に局所ステロイド薬と呼ばれ、高い治療効果が認められます。これは局所的に働き、全身的な副作用が起こりにくいと言われています。ただしあまり長期にわたって使用すると鼻の乾燥感や違和感、さらに鼻出血が起こりやすいと言われています。また全身的に内服(セレスタミンなど)や注射で副腎皮質ホルモンを使うことがありますが、長期間使用することは避けるべきものと考えられます。必要があって使用する際には効果が出ても、出なくても、中止する時期を使用開始時から決めることが必要でしょう。

抗アレルギー薬の点鼻薬は安全性が高く、使いやすいものと思います。点鼻薬でも内服薬と同様に、即効性があり眠気を起こしやすいものと、即効性がないが眠気を起こさないものの2種類があります。いずれも効果はあまり強くないので、症状の激しくない状態で使うのが良いと思われます。抗コリン薬の点鼻薬は特に鼻水の多い患者さんに有効です。

 妊娠中の花粉症の予防と治療は?

20才代から30才代は花粉症が特に起こりやすい年代です。また妊娠中は内分泌の変動のために鼻の症状が悪化しやすい言われます。そこでまず最初には予防が必要と考えられます。花粉は室内にはほとんどないので(室外の約1/100)室内に留まり外出を避けることが有効です。またマスクやゴーグルは接触する花粉数が約1/10になり、これは薬の効果に匹敵すると思います。体調を崩さないような節制も必要です。

妊娠中の薬物の使用は催奇形性(妊娠4週頃から15週頃まで)と胎児毒性(妊娠16週頃から分娩まで)という影響を考える必要があります。一般的には古くから使われている薬剤の方が経験的に長期使用され、安全性や危険性が判っています。そこで抗アレルギー薬よりも抗ヒスタミン薬の方が使いやすいと思われます。抗ヒスタミン薬の中ではクロルフェニラミン(ポララミンなど)、とクレマスチン(タベジールなど)が安全性が高いといわれています。漢方薬では、小青竜湯や葛根湯がよく使われます。また内服薬よりも点鼻薬などの外用薬の方が妊婦の血中に入る薬剤の量が少なく、安全性が高いと考えられます。妊娠する可能性のある方は、最終月経の開始日から4週間を過ぎて次の月経が遅れているときには、薬剤の使用は控えるのが良いと思います。

妊婦に薬は使いにくいので、温熱エアロゾル療法をおすすめすることがあります。これは水道水を42度位に暖めた蒸気を吸うという治療法で、安全性は極めて高いと考えられます。この治療は医療施設で行うよりは薬局や電気店で購入し、自宅で行っていただきます。その他には予め減感作療法を受けて、症状を軽くする方法が予防法としてあり、薬の使用を減らすことが出来ます。